ハートキャッチプリキュア最終回に寄せて

ハートキャッチプリキュア。終わりましたね。終わっちゃいましたねー。
一年間応援してきて本当によかった。


マックスハートからプリキュアを見てきたけどフレッシュプリキュアで一旦作風をがらっと変えて、その後に再構築されたこのハートキャッチプリキュアプリキュア史上、いや、アニメ史上に残る名作だと思う。


ハートキャッチプリキュアの第一話を見た時の衝撃は今でも覚えている。なんとも可愛い作画にえりかのキャラクター!むむ、これまでのプリキュアとは全然違うぞ、という雰囲気があった。えりかは初めて変身した時に「私はキュアマリン!ずっと考えてたんだ!」とか言うし、変身バンクではノリノリで嬉しそうだし、これまですまして変身していたプリキュアのみんなとは一線を画していて庶民派でとても好感を持てた。そう、始めはえりかのファンとしてハートキャッチプリキュアを見ていたんだよね。でもお話が進むにつれつぼみも、いつきもゆりさんも大好きになっていったけど。


プリキュアテレビ朝日のニチアサ枠だから一年間という長丁場。これまでのプリキュアは基本的に1回完結のエピソードを積み重ねつつ全体を通す話を進めて最終回近くで終結させる、という流れだった。ハートキャッチも同じパターンなんだけど、ハートキャッチが凄い所は一つたりとも「あっても無くてもいい話」が無かったところ。いつも何かしら登場人物が成長したり、スタッフからのメッセージを感じていた。だから途中でプリキュア達がパワーアップするんだけど「あれ、パワーアップのタイミングがやけに早いな。もう一段階あるのかなあ」なんて思っちゃうくらい、一年間をあっという間に感じた。


一年間ずっと一緒にいたプリキュアのオープニングソング。今よく聴いてみると「おもいやりで育ったその笑顔は枯れない」とか「さあみんなで 花咲かせよう」とか、まさに一年間でハートキャッチプリキュアが伝えたかったメッセージの象徴だということに気が付く。
プリキュア最後の必殺技は「くらえ、この愛!こぶしパーンチ!」。憎しみでいっぱいになっていたデューンを愛で包んでこっち側にひきもどした。


最終回の一つ前に、つぼみが「悲しみや憎しみは誰かが歯をくいしばって断ち切らなくちゃ駄目なんです!」と言った。はっ、ってなった。私はずっと悲しくて心の中でデザトリアンが暴れてたんだけど、この瞬間ほわほわ〜って救われて次に進めるようになった。これだけでも私はハートキャッチプリキュアに感謝してもしきれない。


全ての戦いが終わった後、えりかは「むふー!私たちはスゴイことをしてしまった!地球を守ってしまったー!!!」って興奮冷めやらぬ、なんだけどそれをゆりさんが叱責する。いつまでも終わったことにこだわっていてもしょうがないわよ。これからは自分で心の大樹を育てなさい。自分の人生なんだから、と。
これも、いつまでもハートキャッチプリキュアの世界に浸っていないでみんなそれぞれ自分の人生を頑張りなさい、というメッセージにとらえられる。


全てが終わった丘の上のシーンは、ちょうど第一話の一年後くらいらしい。うららかな春の日に、のんびりとした明るい雰囲気が番組が始まった当初を思い出させる。
でもよく見るといつきちゃんは髪が少し伸びて女子の制服になり、自分の気持ちを隠さずに女の子としてのびのびと生きていることが分かる。これまでのエピソードを通してみんな成長した。仲間もできた。
これからもみんなはまっすぐな心を失わず、頑張っていくんだと思う。


ハートキャッチプリキュアは、愛や、強さや、仲間の大切さや、大切なことを色々と教えてくれた。ストレートにハートに届くメッセージ。
ハートキャッチプリキュアは、画面全体がいつも綺麗な色で、見ているだけでなんだか幸せな気分になれた。
しかも表情や、ちょっとした台詞なんかがとても細かく作られていて見直す度に新たな発見や、また違った印象を受ける。キャラクター一人一人にも物語があって、非常に密度が高く愛をもって作られた、まさに祝福された作品だなあと思う。


ハートキャッチプリキュアに出会えて本当によかった。
スタッフの皆さん一年間お疲れ様でした。そして、ハートキャッチプリキュアという作品を作ってくださってどうもありがとうございました。