おやすみプンプン第3巻

というわけで今日は浅野いにおの最新作、おやすみプンプンの第3巻を読んだ。黄色、青緑色ときて今度はピンク色の表紙。しかもよく見たら雄一おじさん。普通版とTシャツ付き限定版とが売られていて、ちょっと迷ったけどTシャツ付き版の方を購入。以下読んだ感想ネタばれ注意。


私は気に入った漫画の最新刊を読む時はかなり集中して読む。1冊まるまる読み終わるまで絶対に話し掛けたりされたくない。全神経をその作品を味わうことだけに傾けたいのだ。
勿論気に入った漫画は何度も読み直すんだけど、でもやっぱりその漫画のその話とのファーストインパクトというのは人生で1回しか無いわけであり、そう考えるとその貴重な1回は自分の全てをかけて挑みたいよなあと思う。


おやすみプンプンの3巻もこうして息をとめるようにして読んで、読み終わった瞬間にこう思った。
浅野いにおすげえ!浅野いにおやっぱ天才!超天才!やべえ、天才すぎる!!!」
ああもう漫画読みでよかったよほんと。よくぞプンプンに出会っていたよ。浅野いにお作品では虹ヶ原ホログラフもかなり好きなんだけど、プンプンはこれを超える傑作なんじゃなかろうか。なんか浅野いにおの代表作になる気がする。


愛子ちゃんを巡るプンプンの葛藤とか最高。あの、黒地に白で書かれるやつ。物陰から顔だけ出して大きな明朝体で主張する神様の言葉とか、あと物語風のナレーションとかも最高。よくこんな魂に突き刺さる言葉を漫画で表現できるよなあ。
かと思えば「自分の気持ちが少しずつ黒く澱んでいることは、なんとなく、気付いていました」なんてちょっと醒めたような切ない文章も一級だし。


そんなこんなでプンプンに密着して時に一緒に泣きそうになりながら読み進んだんだけど、公園のクライマックスのシーンでプンプンが空き缶を蹴った次の瞬間にすっと画面がひいて見開き一面の夜の景色になったところでふと我に返った。誰の姿も見当たらない、新聞配達や小鳥達が活動を始めるちょっと前のまさに朝との境界線にある住宅街の夜の宇宙を流れ星が一筋横切って行く。その途端これまでのぐちゃぐちゃが全部洗い流されたのがもう本当に凄くてしばらくそのページで立ち止まってしまった。そして気を取り直して次を読み進めてみると、今度は大船のおじさんこと雄一おじさんの話になっていた。


雄一おじさんはこれまでも存在感があったんだけど、ここに来て第二の主人公であったことが判明。そう考えると今までの雄一おじさんのちょっと丁寧な扱いも納得が行く。雄一おじさんの話も気になる感じで楽しい。
プンプンサイドの話がえらく中途半端な所でとまってはいるが、プンプンの話を続けるのが難しくなってきたから苦し紛れに雄一おじさんの話を持って来た、なんてことは浅野いにおに限って絶対に無いはず。なのでいつかプンプン側にも回答が出るのだろうと安心して雄一おじさんの話に没頭できる。


それにしても掲載誌のヤングサンデーが休刊になるのがかなり心配。プンプンが完結しないのは日本の漫画界にとって大きな損失であると思う。どっかいい雑誌に移籍するか、最悪でも単行本で、きちんと作者が狙った形で完結するまで続けてもらいたい。頼むぞ小学館……。

おやすみプンプン 3 (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 3 (ヤングサンデーコミックス)