今日のYahoo!ニュースで、オタク人口は172万人、市場規模は4110億円という報道がなされました。(どうせしばらくするとリンクは切れるでしょうが。それにしてもどうしてアーカイブにしないのでしょう)

これだとよく分からないので、発表元の野村総研の該当ページ


4110億円……。なんか多いような気もしますが、マンガ・アニメに加えて車やアイドルやパソコン分野の数字も入っているとすると、意外とそんなに多くないかもという感想です。去年の夏に「オタク市場はもはやニッチではない」という報道があり、つまりはそれの1年後の研究結果なわけですね。

去年この報道に接したときは衝撃でした。ついに有象無象魑魅魍魎のオタク市場にシンクタンクのメスが入れられたか!と。
で、今年の報道ですが。なんかしら笑いがこみ上げて来ます。
まずオタクの定義からし

本調査研究におけるオタク層の定義は、「強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇として使える金銭または時間のほとんどすべてを費やし(消費特性)、かつ、特有の心理特性を有する生活者」です。2004年8月に中間発表したオタク市場調査においては、消費特性のみをオタク層の定義としていました。しかし、今回の調査では、オタク層を企業のマーケティング活動等に生かす方法を分析・提案するため、オタク層の消費行動を支える特有の心理特性にもより一層注目するべく、定義を変更しました。その結果、さらにコアなオタク層が抽出されており、市場規模推計値は旧定義によるもの(図表3)と一致しません。

だそうです。特有の心理特性……。なんか少しだけ身に覚えがあったりするアレですね。まずここに言及する点で凄いです。あはは、真剣にオタクを研究しているよ〜と笑えてきます。
次にオタクを5つにタイプ分けしています。地味なイメージの「家庭持ち仮面オタク」が一番多く、逆にこれぞオタク!というような「同人女子系オタク」が一番少ないのがとても意外でした。コミック・アニメオタクは数の上では46万人と一番多いのですが、タイプとしては「情報高感度マルチオタク」と「同人女子系オタク」に分かれるため、こんな結果になったのではないかと勝手に推測。私がもしオタクだとしたら、多分「情報高感度マルチオタク」に分類されますねえ。


それにしてもこんな研究をしたのは誰じゃい、絶対この人達もオタクだ!と思ったところ、見事ビンゴでした。野村総研調査グループへのインタビュー記事で判明。この記事、調査チームの方々がより詳しくオタク市場について語っておられて、かなり興味深いので必見ですよ。

また、私はこの報道に触れて「これを機にオタク受けを狙ったあざといなんちゃって萌え粗悪品が氾濫したら嫌だなあ」と懸念していたのですが、このインタビューでは見事

「オタク市場に物を売りたければ、オタクになるしかない」

 オタク層を固定客として取り込み、高価な商品を継続的に買ってもらいたい――そう考える企業もあるが、同市場を安易に狙うと落とし穴にはまる。「オタクは敏感。オタクでない人が、『オタクはこれでも買うだろう』と安易に作った商品は、反感を買う」。

 ただ、オタク狙いの商品であっても、同じオタクが手を抜かずに作った質の高い商品は尊敬・共感され、受け入れられるという。

―(中略)―

 「オタク市場に物を売りたければ、オタクになるか、オタクのフリをして決してボロを見せないことが必要」

とかなり適切に釘が刺されています。加えて

オタク市場がふくらむかどうかはわからないと、研究員は口をそろえる。ただ「オタク市場への新規参入は少ない」ため、急激に増えることはなさそうだ。

ここでも言及されている通り、オタク市場を即新規開拓というのはなかなかに難しそうです。
じゃあ企業からしたらこの研究あまり直接的には意味無いじゃんとか思ってしまうのですが、こうしてオタクについて数値化されたのは大きな一歩だなあと思います。
さてはこの研究自体がオタク向けだったのでしょうか。とすると、作り手もオタクという点をクリアしているので、オタクにもばっちり受け入れられるなあと思いました。