指揮者入り

それで今日はオケの練習に行って来た。久しぶりなのにいきなり指揮者入りで、ごめんなさい……という感じ。


今所属しているオケは演奏会ごとに指揮者の方が変わる。指揮者の方によって指揮の仕方や音楽の好みは勿論のこと、練習の進め方や話題の選び方なんかも色々でとても面白い。
今回の演奏会の指揮者の方はとても博識で、お話が興味深かった。まあ、音大の先生を捕まえて「(特に音楽系の話題に関して)博識な方だ」なんて表現するのはあたりまえすぎて失礼だけど。


ええと、メンデルスゾーンは自宅に自前のコンサートホールとオケを持っていて、真夏の夜の夢はそこで初演されたとか。ヴェルディが作曲したレクイエムはまわりの人から「こんなのレクイエムじゃない」 と非難されたけど、ヴェルディの奥さんが「だってヴェルディが作曲したレクイエムですよ」と言ったとか。ヨーロッパの文化の中心はやっぱりイタリアなんだよね。以前ウィーンで飲んだカプチーノが美味しくて吃驚したけど、同席していた人に言わせるとイタリアのはもっと美味しいらしい。勿論建築もウィーンよりもっと凄いらしい、とか。
他にも関西弁なこぶしを効かせた演奏はチャイコフスキーで使うよね、とかモーツァルトのレクイエムは凄いよね。あれだけ完成していなかったのに傑作になっちゃうんだから、とか笑い所沢山でよかった。こういうのを多分ウィットに富んでいると言うのだろうな。


肝心な練習の方は、一回目だけにお互いアタリを掴んだ感じ?私は一人てんやわんやでそれどころじゃなかったけど。でもやりたい事、ニュアンスを伝えるとか和音の整理とかが丁寧でよく分かった。


今回特に思ったんだけど、いい耳を持ち、音楽理論とか音楽や作曲家の歴史をちゃんと学んだ人にはどんな世界が見えてるんだろう。
今取り組んでいる曲は、なんと現役音大の方が書き下ろしてくださった曲。難解で複雑で、どうなってるのかさっぱり分からない。まずこういう曲を思い付いて、書けるっていう時点で凄い。そしてまた指揮者の方が凄い。この一見分からない楽譜を、綺麗に分解して整理して示してくれる。つまり、音楽には音楽の文法があるのだ。
以前聞いた話では、和音にはそれぞれ意味があるらしい。クリスマスの和音とか。私は和音の響きくらいは分かるけど、お名前やまして意味などはさっぱりだ。ちゃんと勉強したいなあ、と思うものの何から手を付けていいのやら皆目見当がつかない。本屋さんでテキストらしきものをパラパラと眺めてみたことがあるのだが、まったくもって難しそうで結局買わずじまいだった。
いや、それでね。ちゃんと音楽教育を積んだ方にとって、曲はどんなふうに聞こえるんだろう、スコアはどんなふうに読めるんだろうということが気になってしょうがない。私が曲を聴いてなんとなく感じるものの何十倍もの情報があるんだろうなあ。なんとなく感じるのも音楽の楽しみ方だけど、色々知って考えた上で聴いたらもっと面白いはず。


それにしてもうちのオケの人達は凄い。「金管のコラール、もっと遠近感を持って遠くから聴こえて来るように」と指示されると、一発で本当にそう聴こえるようになったし。あれはどうやるんだろう? 他にもみんな色々と瞬時に対応していて凄かった。日頃の練習と実力の賜物だなあ。


そんなこんなで4時間の練習を終えるともの凄く疲れ、体力の衰えを感じた。でもやっぱり楽しいや。今日はオケのみなさんに「久しぶりー」と声を掛けていただいて嬉しかった。下手な上にかなりお休みしていてちょっとドキドキだったもので。そう言えば、このブログをオケの方一名に捕捉されたらしい。いやー、どうもどうも。