人間らしい生活

一足お先にゴールデンウィークにして、奈良の実家に帰ったんだけどいやあ、ほんとにここらへんは自然がいっぱいだね。
と言うか普段の生活にいかに自然が無いかということを改めて認識した。


家の玄関に到着すると、まず母が育てているお花がお出迎え。
うーん、見事だ。
ワイルドストロベリーなんて実がなってるし!


ただいまーって言って、荷物を置いて、お土産を渡して、家の裏にある庭へ。
うーん、いい天気。ぽかぽかぽか。


ここでは昔は祖母が小さな畑をやっていて、今の時期だとトマトとかナスとかキュウリの夏野菜の苗が所狭しと植わっていた気がする。冬には白菜とかジャガイモとか玉ねぎとかが採れたし。後はネギとかパセリとかシソとかの薬味系とか、ミョウガとかも。
小さな畑で家族が食べるだけなんだけど、やっぱりおばあちゃんの畑で採れる野菜は格段に美味しかったし、贅沢だよなあと思う。


今も祖母は健在だけど体力が無くなったらしく、畑ではほとんど何も作っていない。
「脚も痛いし腰も痛いし、ボロボロや。達者なんは口だけや」
なんて笑っているから、それだけ冗談が言えるんなら大丈夫だなとほっとするもののやっぱり心配。腰の痛みについてちょっと調べたけど、慢性的なもので治すのは難しそうだし。


畑には何もないものの、畑周辺には木とかお花とかがあって、それらは昔と変わらずに育っている。
特に栗の木なんかはかなり立派だ。こんなに大きかったかなあ。


ラベンダーにはミツバチがまとわりついているし、モンシロチョウも飛んでいるし。子供の頃にはごく普通の光景だったんだけど、東京で働いていたらモンシロチョウなんてまずお目にかかれない。
私は小学生の頃から理科、そして生物が一番好きな教科だったんだけど、こんな環境に育ってなかったら生物が好きになっていたかは怪しいもんだ。モンシロチョウとか、図鑑で見てもたいして面白くないよねえ。


ひらひら飛ぶモンシロチョウをじーっと見守って。お花に止まってもまだしばらく我慢して。落ち着いて蜜を吸い始めた所を後ろから虫取り網でばさっと捕まえる。
虫取り網の中でばたばた暴れるモンシロチョウの羽を慎重に揃えて持って。やわらかそーな体を傷つけないように虫かごに入れる。
虫かごの中で跳びまわるモンシロチョウと、指に付いた鱗粉のこなこな。


……子供の頃はこんなことばっかりやってたなあ。
そのくせ今は虫がかなり苦手だから不思議なもんである。セミとか何あれ超こわい。昔はミンミン鳴いてても平気で手掴みできてたのに。


そんなことを考えながら植物の間にしゃがんでみる。
猫の目線。
祖母や母は畑をひっくり返すから猫がキライなんだけど、ここらへんには猫が多い。猫どころか、タヌキまでいるらしい。


都会生まれ都会育ちの友人なんかに、うちの実家はこんなに素敵なんだぜって自慢したくなる。
ウグイスなんて素晴らしい声で鳴いているし、裏の山なんて正真正銘の雑木林だし。
東京とか、公園にいい感じの林があったりするけど管理されたものだからねえ。こっちの雑木林とかぼうぼうだぜ!一応山の持ち主の人が見てはいるみたいだけど、ほんと野生を感じるぜ!


自分が働くだけなら東京で満足なんだけど、もし子供とかがいるならやっぱり自然がいっぱいな所がいいなあと思った。でも東京近辺でここまで庭を取れるお家なんてどんだけ高いんだ?って話だし。


会社の人に話を聞いてみたら、意外と関西出身って多いんだよねー。うちの部署、いっそのこと関西でええんちゃうん?って思うけどお客さんの関係とかでそうも行かないんだろうねー。